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チャッピー(2015年/アメリカ/120分)

chappie.jpg
監督 ニール・ブロムカンプ
脚本 ニール・ブロムカンプ テリー・タッチェル
音楽 ハンス・ジマー
出演 シャルト・コプリー デブ・パテル ニンジャ ヒュー・ジャックマン 他


ベースメント指数 ★★★★☆/4.63
客観指数 ★★★☆☆/3.28
(amazon-3.4/5、IMDb-6.9/10、ROTTEN TOMATOES-4.9/10、TSUTAYA DISCAS-3.41/5、YAHOO映画-3.69/5)
属性 SF アクション
<海外の評価よりは日本の方がいい。>


「第9地区」「エリジウム」のニール・ブロムカンプ監督が、「第9地区」同様に南アフリカ・ヨハネスブルグを舞台に設定し、成長する人工知能を搭載したロボットをめぐる物語を描いたオリジナルのSF作品(映画.COMより)。

ネタバレ注意

『エリジウム』は観てないんですが、この『チャッピー』はかなり『第9地区』と似たような構成になっています。しかしテーマは差別・被差別というよりは、人工知能。こう言うと薄っぺらいんですが、かなり手塚治虫の『火の鳥 復活編』と類似する点があり、その辺を中心にレビューしたいと思います。ということでネタバレだらけになりますので、『チャッピー』及び『火の鳥 復活編』のネタバレを避けたい人は読まないで下さい。

火の鳥 復活編

さて、『火の鳥 復活編』では、主人公は一度死に、人体実験的最新技術で蘇生させられます。しかし脳の損傷が酷かったため人間や動物はガラクタに見え、無機物だけがそのままの姿で認識されます。挙句、この世界で唯一まともな人間、及び女性に見えるチヒロというロボットに恋をし、単なる工場生産ロボットであるチヒロもまた恋に落ちます。
最終的に主人公は再び死に、しかし博士によってその意識はチヒロに移植されます。チヒロと同一体になった主人公はやがて人間に拾われ召使になりますが、他のロボットにはないその人間臭さ(失敗する、機嫌が変わるなど)がウケ、同じ記憶を移植した<同じ歌を歌い、同じ遊び、思い出を知る>ロビタが大量生産されます。
ラストでそのロビタは「自分は人間である」というアイデンティティに苦しみ集団自殺します。人間を殺せないようプログラムされてるが故にです。しかし中には間接的に殺人を犯し、「人殺しをした自分は人間だ。人と同じように罰してくれ」と懇願するロビタも現れます。

僕が火の鳥を思い出したのはストーリーではなくチャッピーの造形がチヒロに似ていたからですが、描いてるテーマが実に似ていると思いませんか。「死」を間近に感じ、恐怖し、まっさらな状態から学ぶためまるで子供のようなチャッピー。「ロビタ」という名前はロボットよりより人間らしい愛称としてそう呼ばれたらしいのですが、チャッピーという名前も同じ響きを持ちます。

共通するテーマ

チャッピーは人の脳波を読み取り機械を操作するヘルメットを手に入れ、パソコンで自分の意識を解読しようとします。それは溶けて取り出し不能のバッテリーが切れかかり、歩み寄る自身の死に対する策として、「意識を取り出せれば」と考えたことによります。
僕はてっきりココでチャッピーが意識を取り出せず「僕には人間のような意識/魂はないのだ」と悟る場面になるのかと思いました。その悲哀、絶望を描くのかなと。しかしエラーを繰り返した後、コンピュータはチャッピーの意識解読に成功します。チャッピーの持った意識は、人間と何ら変わりないものでした。

ここが既存の人工知能モノと異なる点ですよね。多分「えっ?解読できるの?」ってなった人は多いのでは。『火の鳥』では、チヒロに魂的な意識があるとまでは描かれませんが、しかし恋に落ちたチヒロは、本来こなせるハズの作業が手につかなくなります。機械なのに。
そして最終的に、チャッピーはそのヘルメットを使って死んだ人間(チャッピーの創造主)の意識をロボットの中に転送します。自身の意識も他の個体へ転送、全く別の肉体<ロボット>となった2人は裏路地へと消えて行ったのでありました。

何より共通してるのは、「自分の自分たる所以はどこにあるのか?」というテーマな気がします。「我思う、故に我あり」とは有名なデカルトの言葉ですが、言い換えれば「我思えば、それは我である」ということじゃないでしょうか。それは例えば名前、体、国籍、人種、もろもろ俗物的、物質的なモノとは無縁な何かであることを示唆してはいないでしょうか。それが例え機械に宿ったとしても、犬でも木でも石ころでも…人工知能でも。「我」は物質ではない、脳ミソなんかではない。そういったテーマをはらんでいる気がします。

逆にそれが宿って無ければ、ソレは一体何なのか。それの無い人間を哲学ゾンビと言います。見た目上、全く人間と変わらず生活しているが、「我」の存在しない人間。『マトリックス』などの仮想空間系の映画はその辺のテーマも内包してますね。個人的にオススメなのは黒沢清監督が『リアル』で描いた哲学ゾンビ。そう、最近気づいたんですが、「自分の夢に出てくる他人」って哲学ゾンビなんですよね。

つまるところ火の鳥をブロムカンプ流の差別様式に当てはめ、ハリウッド流の娯楽でまとめあげたのがチャッピーであります。ブロムカンプが火の鳥を知っていたかはどうでもいいですが、手塚ファンならばしっくりくるちょっと哲学的面白さも内包してるのでは。

娯楽として

「頭脳はコンピュータ!体は無敵!情緒は幼児並み!(コナン風)」コレがチャッピー。この超人的な戦闘能力と幼児並みの情緒とのギャップがなんとも愛おしいのですが、その辺の<ピュア>な葛藤も見所ですね。そしてナイフで刺すと眠ると本気で信じてしまうバカなところも笑えます。

久々面白いやつ来たなって感じでした。オススメです。



      
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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : SF アクション ニーム・ブロムカンプ監督

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